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小林由政

ウッドショック

ウッドショック


コロナの影響により自宅で仕事をする人が増え、昨年から新築やリフォームがブームになったアメリカでは木材価格が急騰し、木材が日本の輸出用に回らなくなりました。

これがかつての石油ショクになぞらえて名付けられたウッドショックです。

もともと日本の住宅は使用する木材の6割が輸入材で、国産材は4割です。

アメリカのブームは下火になってきましたが、次はヨーロッパの住宅建築ブームと言われています。

日本の木材の輸入元は、以前は東南アジアや中国でしたが、今はそれらの国からの輸入は制限され今は北米と北欧が多くなっています。


日本の国土は7割が森林であることは多くの方がご存じだと思いますが、森林面積の4割が人口林で、その人工林の7割がスギ、ヒノキです。岡山県は森林面積割合も人口林割合もほぼ全国平均です。

意外だと思われる方が多いでしょうが、ヒノキの産地は岡山県が全国ナンバーワンです。


国産木材価格は昭和40年代から低迷を続け、ピーク時の10分の1になって久しかったのですが、ここ10年くらいは戦後に植えられた木が伐採に適した時期を迎え価格も少しずつ上昇していましたが、それでも永く続いていた安値から10%くらいの上昇でした。

それが今回のウッドショックでは原木価格の30~40%、商品価格では物により50~80%の値上がりになっています。


スギ、ヒノキは柱には適していますが梁にはマツが適していて、日本の住宅の梁には輸入材の米マツ、レッドウッドが多く使われています。国産のアカマツ、クロマツは東北地方が産地ですが、輸入材の方が安く国産材の供給は多くありません。

それでは今回のウッドショックで輸入材から国産材への転換が進むのかと言えば現実はなかなか難しいのです。

その最大のネックは林業従事者が少なくなっていて供給量が増やせない点です。この40年で林業従事者は3割に減り、供給量を増やそうにも増やせないのです。


輸入木材が不足し、国産木材もなかなか増やせないので住宅価格は上がってきています。

住宅価格に占める木材価格は1割程度ですが、もし仮に住宅価格の3%の上昇があったとすれば数十万円になりますので、建築予定の方には大きな出費です。


永く続いた木材価格の低迷で山林所有者も山への興味が無くなり、自分の山の場所すら知らない方が多くなっています。植林しても50年以上先の伐採まで考えられないのが現実です。

もし伐採しても、新たな植林、5年間の下草刈り、成長毎の枝打ち、何度かの間伐をしないと良い木材にはなりません。だから伐採しても植林しない方が多いのも事実です。植林しても木は勝手には成長してくれないのです。

また最近はシカが増えネットで囲わないと植えたばかりの木が食べられてしまうのも大きな問題になっています。

そのため、実際には補助金が出ないと林業は成り立ちません。すべての工程に補助金が有り、直接的には木材価格ではなく補助金で林業が成り立っているのです。


人口林を増やし、適した時期に伐採をする事は木材に二酸化炭素を吸収させ(人口林は古くなると二酸化炭素の吸収力が無くなります)地球温暖化防止に役立つのは分かっていますが、乗り越えなければならない点が多くあるようです。


私事ですが、このたび2年前に亡くなった父から相続した岡山県北の実家の裏山のヒノキを伐採する事になりました。山林は他にもありますので、今回の伐採でこれから先のヒノキ林を育てるために必要な資金を残せるかどうか、9月頃には分かると思います。


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